大赤字の時期にマネージャーに就任。その後、驚異のV字回復 古橋 哲朗 vol.1

大赤字の時期にマネージャーに就任。その後、驚異のV字回復 古橋 哲朗 vol.1
総合フィットネスクラブわらわらを経営する株式会社わらわらの古橋哲朗COOがトレーナーのキャリアを語る写真 ジムフロントにて

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 埼玉県南西部のふじみ野市と所沢市には、地元「埼玉」を強く意識した「わらわら」という地域密着型の総合型フィットネスクラブがある。
1993年に1号店である「わらわらふじみ野店」を開設、2002年には業界初のウォーキングプールを導入した「わらわら航空公園店」を開設した。
 順調に事業を拡大していた矢先、2007年に栃木県宇都宮市に開設した「わらわら宇都宮店」が赤字となった。
2009年に「わらわら宇都宮店」を閉店、さらに同タイミングで、既存店の「わらわらふじみ野店」は、強力な競合の出現による会員の大幅減を経験。

 閉店と会員の大幅減というダブルパンチを食らった時代に、現株式会社わらわらの古橋哲朗COOはマネージャーに就任した。動かなければ終わる。強い危機感を持ち、上司や現場を説得しつつ様々な経営改革を実行し、利益のV字回復を達成した。経営面だけではなく人事面での改革も進め、離職率の低下も実現。
 
現在は、企業経営の激動期の経験を生かし、コンサルティング事業などの次の事業を見据えている。

 全4回のシリーズでわらわらの強さの秘密に迫る。

 第一弾は、2000年代後半に起きた経営危機と、その後のV字回復の過程についてお話いただいた。

創業から20年以上ですね。

 そうですね。1号店が1993年オープンでしたから、もう26年ですね。
この「わらわら」という施設は、創業社長の地元である、ふじみ野でスタートしました。
 
もともとはスイミングを主体としていたこともあり「水と笑顔のフィットネスクラブ」ということで「ウォーターウォーター」としてやってきました。


わらわらの事業をお聞かせください。

 総合型フィットネスクラブとして、マシンジム・プール・スタジオ、その他スイミングスクールを中心にダンスや空手、体育教室などのキッズスクールを運営しています。
 最近では、コンサルティング部門で事業再生のお手伝いや異業種からフィットネス業界に参入してくる企業からの依頼を受けて、新規事業開発のお手伝いもしていますね。プロモーションからオペレーションまで全てのサポートをしています。

自社運営事業の拡大は?

 2007年に宇都宮に出店して失敗した経緯があり、そこから新たなチャレンジができていませんでしたが、ちょうど先月、中長期を見据えた経営戦略を引き直しました。
 
5年先、10年先のことを描いていく中で、これから新たな地域へ出店することも考えられると思います。

宇都宮はどうして失敗だったのでしょうか。

 マーケットとしての難しさがありました。もともと地元でなかったこともあり、地域の生活状況などを把握できていない状態で開店したこともあり、今だったら建てないなという場所にお店を構えてしまったのだと思います。

 そのマーケットでの成功要因としてのキーファクターが何かを見極められていなかったのかもしれません。

わらわらに入社されたのはいつ頃ですか?

 24歳の時にアルバイト入社しました。2号店である航空公園店ができた1年目のことです。
 
当時は、世の中変えてくぞ!というような高い志は持てていなかったです。ずっと野球をやっていたので、スポーツに関わる仕事をしたいと思っていたところ、近くにフィットネスジムが出来たからやってみようか、というくらいの気持ちでした。事業を通じて学ばせて頂いたことや役割を変えて一つひとつ階段を登ることで成長してきたような気がします。

正社員にはいつ頃になったのですか?

 えーと…3年半くらいはアルバイトでフロントを担当していました。28歳までフリーターで、不遇の時代を過ごしましたね(笑)。

 そこから、正社員、チーフ、サブマネージャー、マネージャーなど現場での業務を経て、本社のゼネラルマネージャー、今は執行役員を任されています。

わらわら古橋哲朗CCOの経歴
※古橋さんの社内での略歴

ゼネラルマネージャーになったタイミングでGLOBIS経営大学院に入られたのですか?

 そうです。店舗単体のマネジメントには自信がありました。現場叩き上げで様々な経験をしましたし、売上の上げ方は分かっていました。
 一方で、当時主力となっていたスタッフは私よりも10歳くらい年下でした。「10年後、彼らが僕と同じ歳になる頃に2店舗だったら、この会社や彼らの将来はどうなっちゃうんだろう?」と思ったんです。このままでは頭打ちになるし、新しい事業を作らなければ!という中で、新規事業の作り方や新規店舗の出店については、なんにも分からないことに気づき、経営を体系的に学び直さねばと考え、GLOBISに学びに行きました。

正社員になって以降の実績を教えてください。

 宇都宮店の失敗と同じ頃に、ふじみ野店のすぐ近く、1km圏内の駅前に競合フィットネスクラブがわらわらの1.5倍くらいの大規模店をオープンさせました。そこで、ふじみ野店の会員数が半分近くになってしまったのです。この最悪のタイミングで、マネージャーに昇進しました。
ただ、ここからV字回復に転じ2期で黒字化し利益を改善しました。

わらわらの売上推移

V字回復をどのように達成されたのでしょう。

 集客力・在籍数をあげて、売上増から6期連続で利益増加を果たしました。その頃はマーケティング用語であるSTP、4Pといった言葉は知らなかったですけど、今思えばSTP、4Pを変えたということです。
 例えば、プロダクト(店舗)もそれに合わせて設計していきました。当時、ジムの中ではベンチプレスなどが広い面積を占めていましたが、ハードなトレーニングをする男性が1日10名程度しか使っていないエリアでした。女性や体力に自信がない方でも利用しやすいジムに変えていこうと決め、ベンチプレスを外して骨盤リセットエリアを作りました。
 当時は骨盤がキャッチーなワードでしたから、若い女性が興味を持ち集客出来ました。スタジオプログラムにもヨガやピラティスを増やし、若い女性をターゲットに廉価な会員種類の設計など、まさにSTP、4Pを変えましたね。後々、整理するとそうだったなと思います。

 【マーケティング用語】
STP:Segmentation(市場細分化)、Targeting(ターゲット設定)、Positioning(ポジショニング設定)の頭文字。
4P:Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販売促進)の4つの要素。

かなり大胆な決断だったのではないでしょうか。

 そんなことを言っていられる状態ではありませんでした(笑)。
会員が激減してしまって何かをやらなきゃ終わる。「やって終わるのか、やらないで終わるのか」、というだけでしたから。
 
ベンチプレスをされていたお客様にはお手紙をお渡しもしました。ベンチプレスを撤去するということは、半ば強制退会に近いことですから。
 10から15を捨てて1000を取りに行くということを優先しました。ただし、目の前にいる「現状のジムの設計を喜んでくださっているお客様向けのサービスを辞める」というのは怖い決断でした。

その結果、女性と体力に自信がない方向けのジムがヒットしたのですね。

 そうですね。あと、スイミングスクールも少しテコ入れしました。スイミングスクールは、ジム会員に比べれば会員数が大きく減ることはなかったです。子ども向けの教室は環境変化を嫌がるのか、競合のジムに奪われるということはあまりなかったのですが、それでも300名くらいは減っていました。
  戦略的には、今まで短期的な売上が重視されていたところを、まずは母数を増やすことを目指して夏休みや冬休みの短期教室で地域最安値を打ち出しました。母数を増やせば、生徒の平均在籍月数が長いので、例え単価が低くても事業として安定することがポイントでした。
 スイミングの場合、小学校3年生くらいまでは基礎体力強化的な要素が強く、そこから競技スポーツに変化していくため、その切り替えのタイミングの前から会員としてしっかり囲い込むようにしました。

当時のプロモーション戦略はどうやって決めていたのですか?

 当時、フィットネスでは周辺に競合がいなかったので、当社一人勝ちみたいなところがあって、「ゆでガエル」でした(笑)
当時は戦略なんてあまり考えられていなかったと思います。チラシを打てばお客さんが来てくれるというだけだったので。

「ゆでガエル理論」:
ゆっくりと進行する危機や環境変化に対応することの大切さ、難しさを戒めるたとえ話の一種。カエルを熱湯の中に入れると驚いて飛び出すが、常温の水に入れて徐々に熱すると、カエルはその温度変化に慣れていき、生命の危機と気づかないうちにゆであがって死んでしまうという話。

どうしてターゲットを女性に絞ったのでしょう?

 当社の会員データを分析した時に、定量的に若い女性の会員が異常に少なかったという事実がありました。弱いところを強くしていかなければという想いがありましたし、感覚としても、若い女性に興味を持ってもらえないとどの世代にも流行らない、という気持ちがありました。若い女性にヒットする商品を作り出す、という当時のトレンドもありましたね。

わらわら航空公園店外観

わらわらの情報はこちら

【わらわら】
URL  :https://www.waterwater.co.jp/

わらわら店舗ページ

【ふじみ野店】
URL  :https://www.waterwater.co.jp/fujimino/
 【航空公園店】
URL  :https://www.waterwater.co.jp/kokukoen/

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  • フィットネス産業の展示会FIBOの取材vol.5 本日公開しました。

vol.5のテーマは健康&フィットネスです。

5回に分けてご紹介したFIBOは今回で完結です。

ぜひご覧ください!

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  • 『絶対に、一生人生を輝かせられる自信がある!YMCとの出会いとこれから』
内田 薫さんのキャリアに迫る!
vol.2を公開中。
https://www.tr-career.com/article/20-uch-2/

YMCメディカルトレーナーズスクールで講師をされている内田さんが、なぜ講師になったのか。それまでにどんなキャリアを歩んだのか。
金融業で勤務し、ファイナンシャルプランナーも持つ内田さんがどのように決断してきたのか。

ぜひご覧ください!

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