ビジョントレーナーとしてのキャリアスタート 小松 佳弘 vol.1

ビジョントレーナーとしてのキャリアスタート 小松 佳弘 vol.1

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小松 佳弘 (こまつ よしひろ)

株式会社パーソナル・グラス・アイックス常務取締役
ツァイスビジョンセンター by パーソナルグラスアイックス、メガネのアイックス銀座店、検眼士
一般社団法人ビジョンアセスメント協会 代表理事
小松式ビジョントレーニング ビジョンアセスメントトレーナー

《出身、学歴、競技歴》
1981年7月27日福岡県飯塚市生まれ。
九州産業大学附属九州高等学校、早稲田大学 人間科学部 スポーツ科学科コーチング理論 卒業
大学在学中に、心理カウンセリング専門学校、キクチ眼鏡専門学校(オプトメトリー課程)も卒業。
2020年4月より筑波大学人間総合科学研究科 体育科学専攻 博士後期課程に進学予定。
競技歴:卓球・バスケットボール・ソフトボール・硬式野球

代表的な著書に『発達障害の子どもを伸ばすビジョントレーニング(実務教育出版)』がある。

 プロスポーツ選手から小さな子ども達まで、老若男女問わず全ての人を対象とした、「視る」機能を知るための両眼視機能検査「ビジョンアセスメント」と「視る」機能を高めるための「ビジョントレーニング」。
 人間の情報入力の大部分は眼から言われており、その機能性を高めることは、スポーツ成績の向上のみならず、学習の促進や発達障害の改善など幅広く、かつ多くの事項を改善することが可能と言われている。
 『発達障害の子どもを伸ばすビジョントレーニング(実務教育出版)』の著者であり、小松式ビジョントレーニング ビジョンアセスメントトレーナーである小松 佳弘氏に、キャリアや現在の活動等を聞いた。

ビジョントレーナーを目指したきっかけを教えてください。

 大学卒業後、最初は別のメガネ販売店に就職しました。来店される多くのお客様の眼が悪いのはもちろんで、その方々の接客をしている中で、逆に眼の良い方はどのくらいいるのか?と疑問に思ったことがきっかけです。
 会社内で、本当に視力がいい人(屈折もなく、視力があり、眼球運動も正常な人)がどのくらいいるのか、検証してみました。広告を出して、検査に協力してくれた50名ほどの方を対象に検査したところ、眼がいいと言われる視力2.0の方はいても、屈折が0の人は全くいないことが分かったんです。本当に「眼が良い人」はそうそういないんだな、と最初に知ったきっかけでした。

  日々販売店での接客を通して、メガネ店に来店されないような、例えば眼鏡やコンタクトをつけておらず眼が良いとされている人や、「見えている」という思い込みや眼科やメガネ販売店に来店されないけれども実は良く見えていない人たちと、どのような方法で関わりを持っていけば良いか調べているうちに、ビジョントレーニングという存在を知りました。

  ビジョントレーニングに興味を持って、自分自身でさらに追求して調べていくと、眼が良いとされていても、実はしっかりと眼が機能していない=見えていない、または実は見えにくくなってきて悩んでいる人たちが多いことがわかりました。それにも関わらず実際は、お客様は『全然見えない』と感じる状態になって初めてメガネを購入しようと来店されるパターンがほとんどです。視力不全を感じてようやく来店するという事実に、早期対処の必要性を感じていました。

 実は「視力」が良くても両眼の機能性が低いような、来店はされない「潜伏型」の人がいることや、しっかりとしたトレーニングをすることで良い状態を維持・向上できると分かってきたことで、なんとか解決しようと行動し始めたのが最初の頃のことです。およそ7〜8年前のことです。
 もう一つは、ビジョントレーナーとして正しい知識や測定技術を持って継続的に活動されている方が意外と少ないんだなと感じたことも、自分がやろうと思ったきっかけです。

最初はどのような取り組みからスタートしたのですか?

 まずは、ビジョントレーニングとは何だろう?と思って、第一人者とされる先生に指導していただくために行動しました。第一人者の先生に連絡を取ったところ、実際に活動されているところを見学する機会をいただいて、検査している場面やトレーニング風景を見学しに行きました。そこで現状を知ることができた反面、自分ならばもっとこうしたい、もう少しできることがあると感じました。
具体的に活動を始めたのは、お客様に対して眼の機能をチェックしながら、一緒に来店したご家族の中で眼が良いとされる方に、眼のテストさせてもらうなど様々な眼の状態の計測を始めたところからです。

 そんな活動を進めていく中で、福岡県飯塚市が文部科学省の委託事業として、発達障害に関する取り組みをしていることを知りました。中学校の恩師が教育委員会にいて、ご縁もあり、「眼に関する取り組みをしているのですが、何かお役に立てませんか」と提案をしました。
 それまでは臨床心理士やカウンセラーなど5、6名ほどで活動していたチームでしたが、発達障害に眼の分野からアプローチするのは面白そうだと興味を持っていただけて、私も参加することになりました。発達障害に対しての巡回活動が始まり、活動の中でお店を知っていただき、来店された方に対して無料で眼の検査を始めたりもしました。学校へも訪問するようになり、飯塚市内の学校の先生や、実際に発達障害と診断され悩んでいる子どもに対してアプローチするようになりました。その後、知り合いになった方々のつながりでご紹介いただき、いろいろな学校を訪問する機会をいただきました。

 それと同時にカルチャースクールなどに対してビジョントレーニングの案内をして、そこで講座を持つようにもなりました。博多阪急の中でもセミナーを開催させていただくなどの機会をいただきました。

 また、東京の店舗、アイックス銀座店でも知人からのご縁で、千葉県内の療育施設を訪問させていただく機会を得たりするなど、徐々に活動の幅が広がっていきました。

今現在、対象とされているのはどのような方々でしょうか?

 場所や人で何か限定されてしまうことはなく、子どもからお年寄り、アスリートなど全域の方々が対象です。
 出版した書籍の影響もあり(『発達障害の子どもを伸ばすビジョントレーニング』実務教育出版)、発達系に関する講演や指導の機会も増えています。
 また、野球などチームスポーツに対して訪問し講演したこともあります。一度、とある会社の協賛を受けて、宮崎県と富山県に平林泰三さん(元・日本ラグビー協会公認レフェリー)と一緒に回った時も、学校訪問などで延べ4,000名ほどの前で講演する機会をいただきました。様々なつながりもあって、少しずつお話をいただくことも増えてきています。

発達障害と眼との関連性にも気づいた理由というのはなにかあるのでしょうか?

 ずっと前から、発達障害とは障害ではないような気がしていました。
 子ども達を診る中で、発達障害と言われている子でも、私は全く普通だと感じていました。障害というと脳機能的な不全のように思われますが、彼らの多くは、ただ脳にインプット(入力)されるはずの情報が入ってこないことでアウトプット(出力)が出来ていないだけだという印象が強いと思っています。つまりは、良く見えておらず情報を得られていないことにより、正しい行動ができていないということです。
 実際にその子に適したトレーニングを選定し、ビジョントレーニングを実践することで、治っていくことがあります。例えば本を読めない子が3ヶ月ほどで読めるようになった、などです。
 お母さん方から変化についてのお声をいただくことで、アプローチする方法としては十分適用できる、間違っていないと確信するに至りました。

 そういった気づきがあって、徐々にトレーニングの手法にこだわるというよりは、適切なアセスメントを行い対応することで、シンプル且つ必要なことを提供できると考えるようになりました。トレーニングメソッドとして固定の方法にこだわった場合、1から10までを全て実行する、やらなければいけないように考えてしまいがちで、子供たちが続かない、興味を持たないという状況に陥りやすいかなと思います。それよりもアセスメントをとって、必要とされるトレーニング処方の内「一つだけやって」と提示するなど、簡単に出来ることから始め、徐々に自分から興味を持って続けていけるようになるのかなと思います。

 アセスメントにより、メガネやコンタクトの着用で矯正するのではなく、トレーニングで改善できると考えて対応した子どもが、眼鏡をつけずとも実際に本を読めるようになったケースがありました。ちょうど先日その親御さんからもご連絡をいただき、対応した子の変化やその弟さんが「あそこに行くと本を読めるようになる!」とメガネ屋さんなのに本を読めるようにしてくれる人だと思って話していたというエピソードを教えてもらいました。

発達障害と眼の関連性については、昔から関連する課題として感じていたのでしょうか?

 飯塚市での発達障害に関する取り組みをしているときに、違和感を強く感じていました。

  まず、スタッフや現場の方々がビジョンに関する知識が全くないため、『見えている』ことを前提に話が進んでしまい、発達障害は心の問題であるとして対応するような場面が多く見られました。

  先行研究の中には、視力が下がると聴力も下がるという、視力と聴力の相関についての論文があります。しかし、これを誤解して、施設の担当者の中には『眼が見えるようになると、視覚情報が多すぎて、他に注意が行き、話を聞かなくなってしまう』といった勘違いをされている方もいました。発達障害自体は、心理的側面よりも運動や視覚、歯科領域などの介入がしっかりとあれば改善可能であると考えていましたが、実際の現場に出たことでそれまでの現場の取り組みに対して驚きました。

  発達障害の子供に限らず、成人も子供も、行動などアウトプットの問題に対処する前に、「視る」「聞く」といったインプット出来ていない部分から改善する必要性があります。それまでは、単純に情報処理能力の問題として考えられていましたが、見え方を改善することで、身体活動全てのパフォーマンスは改善することができると思います。例えば、調節不全などの状態であれば、トレーニングの介入や実施により、対処することができます。それまではいかに情報を多く正しく得るかといったインプットの改善にはしっかりと対処していなかったと思います。

  また、眼に関する情報は、コンディションによって微々たる変動や変化がある部分にも関わらず、インターネット上では誤った情報の流出や煽動が広がっている点が問題です。目に効くとされるサプリメントも含めて、情報を整理する必要はあると思います。

現在は、ビジョンのトレーニングとアセスメント、どちらかに比重を置いて活動されているのでしょうか?

 基本は、アセスメントを行うことが中心です。一般社団法人ビジョンアセスメント協会を、商標も含めて発足したこともあり、活動の中心としています(2019年11月発足)。

  私たちの施設(アイックス)に来られる方は、世間で通常行われているビジョントレーニングの方法や実施を期待するのではなく、その前の段階である『見えているかどうか今の状態を知りたい』、『現在自分たちで行っているという方、もしくは、流行っているビジョントレーニングに関して、その効果や方法に疑問を持っている』という方からお問い合わせをいただくことが多いです。
 一般的なビジョントレーニングとされるもののには、椅子に座った状態で長時間、図形の認識などの一定課題をしてもらい、終了後に点数や評価の書いてあるレポートをもらって終了となります。ただ、図形の認識などは、運動が伴っていないと発達しない部分も多く、座った状態でトレーニングをすることよりも、まずはアセスメントして状態を把握する必要があります。

  どういった機能が伴っているかを判断して、不足しているものに対して、適切なトレーニングを処方しないといけない。特に、子どもにとっては、成長過程の中で一瞬一瞬が大事な時間です。遠回りする・無駄なものより、効率の良いトレーニングをするために、状態の見極めと選択をするためのアセスメントが必要です。トレーニング自体は色々な方法があるため、強制せず、いくつか方法の提示に留めています。

推奨はするけれども、押しつけなどの強制はしないということですね?

 そうですね。
 アセスメントさえしっかり取れれば、これまで自分が知っていた・行っていた治療やトレーニング方法などを十分活用できる環境になると思います。

  アセスメントを取っていくと、全く結果が同じような人はいないです。例えばラジオ体操を行なっても、全員の運動機能が同時に高まる訳ではありません。きちんとアセスメントをすることで、体幹の強さが必要な人には体幹のトレーニングを、ジャンプの高さが足りない子にはジャンプトレーニングを、というように細分化して対応することができるはずです。

  細分化した適切なトレーニングでないと、運動機会が少なく、運動機能が低くなりやすい今の子どもたちは、運動機会が多く機能性が高いとされた昔の子供のように十分に対応出来ないんじゃないかと思います。

  大人は自分で方法を選ぶことが出来ます。でも子どもは自分で選べず、与えられる物しかやれません。ビジョンの必要性を理解してもらうために、まずは適切なアセスメントは重要だと考えています。我々としては、ビジョンアセスメントに特化して、活動を進めていければと思っています。
 また、ビジョンアセスメントの対応の幅を広く持って、様々なトレーニング方法や介入方法の紹介をできればと思っています。

取材:橘内 編集:小林(ひ)

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小松さんの著書はこちら

発達障害の子どもを伸ばすビジョントレーニング(実務教育出版 2019)
URL  :
https://www.amazon.co.jp/dp/4788911000

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