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栄養コンシェルジュから知る ダイエットのための栄養学(上)

栄養コンシェルジュから知る ダイエットのための栄養学(上)

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廣瀬 直樹(ひろせ なおき)
2ッ星栄養コンシェルジュ® / 管理栄養士 / 健康運動指導士

【略歴】
2010年~2016年 関西電力病院 疾患栄養治療センター
2016年~ Original Nutrition株式会社 事業統括本部副部長
2017年~ 一般社団法人 日本栄養コンシェルジュ協会委員長、上級登録講師
2017年~ 広島リゾート&スポーツ専門学校『スポーツ栄養学』 講師
2017年~2018年 吉賀町役場 栄養管理業務担当
2018年~ 一般社団法人 地域QOL研究所  理事
2019年~ 株式会社Dr.トレーニング 栄養アドバイザー
※プロフィールの詳細は記事下部に記載

 

はじめに

 我が国で広く活用されている日本食品標準成分表には2,000食品以上の食品が収載されています。すなわちそれだけ多くの食品が存在するということです。
 私たちは、数多くある食品の中から自分の身体に合う食品だけでなく、家族、友人、クライアントにとって効果がある食品を選択しなければいけません。この「選択」は容易ではなく、誤った食品選択や方法論で健康被害を引き起こすことも少なくないと思います。
 私が栄養コンシェルジュとしてよく受ける質問の中に「牛乳は身体に良いですよね?」という質問があります。
 これに対して「簡単にはお答えできません」と回答しています。なぜこのような回答に至るのかと言うと、もし質問者が牛乳アレルギーや乳糖不耐症という体質の場合、牛乳が持っている良い効果を飛び越えて身体に悪影響を及ぼす危険があるからです。
 このようにイメージだけで食品を選択してしまうと、体質や目的によっては思わぬ健康被害を引き起こしてしまうため、栄養管理では自分や相手に適した食品を選択することが最初の一歩だと考えます。
 今回のコラムでは減量(以下ダイエット)を目的とした場合に選択したい食品について書かせていただきます。できるだけ難しい専門用語を省いた実践的内容ですので、皆様の日々の食品選択において少しでもお役にたてば幸いです。

ダイエット目的における野菜(食物繊維)の働き

今回のコラムを簡潔にまとめると

野菜(食物繊維)は、最初にたくさん食べることでダイエット効果あり

《 野菜に含まれる食物繊維の効果 》
 野菜、海藻、キノコ類、こんにゃくに多く含まれている食物繊維には、血糖値の急激な上昇を抑えたり、余分な脂質の吸収を抑える働きが知られています。また、食物繊維はヒトの消化酵素では消化できないことからエネルギーにもなりません。※腸内細菌は除く
 野菜に含まれる食物繊維は消化吸収が容易ではないため満腹感も持続しやすく、ダイエット中の強い味方になります。食物繊維を多く含む野菜のカロリーはもちろん低く、野菜350g(生野菜を両手で約3杯)を食べてもカロリーは卵1個分とほぼ同じです。【図-1】
 以上のことからダイエット中に食物繊維が豊富な野菜を選択することで、満腹感を感じつつ過剰なエネルギー摂取を抑えることができるといえます。

野菜と卵のカロリー比較図
【図-1】野菜とその他食品とのカロリー比較

《 野菜から食べる「食べる順番」の効果 》
 野菜から食べる「食べる順番」は皆様もすでに実践済みかもしれませんが、少し整理してみましょう。
 健康な人を対象に、ご飯茶碗1杯(200g)を食べる前に60gのキャベツ(外の葉約1枚程度)を摂取したデータを見てみると、糖尿病など糖代謝異常の有無に限らず食後血糖の上昇を抑制することが確認できます1 。【図-2】
 この食べる順番によって食後血糖の急上昇を抑えることで、骨格筋や肝臓で糖を利用する時間的猶予ができるため、体脂肪蓄積を抑えられると考えられます2 。
 ただし、脂質を含むドレッシングによる血糖の上昇抑制も否定できないため、60gと言わず積極的に野菜を多く摂取すると良いでしょう。最初に野菜(副菜)を食べることで物理的に満腹感を感じやすくなり、後の食事(主食や主菜)の過食を抑えることも期待ができますね。

サラダの食べ順によって血糖値がどう変化するかを表現したグラフ
【図-2】食べる順番の違いが血糖値に及ぼす影響(文献1より)

《 食物繊維によるGIP(脂肪蓄積作用をもつホルモン)の抑制 》
 私たちの腹部にある腸は、様々なホルモン(消化管ホルモン)を分泌して身体の機能を調節しています。中でも小腸上部のK細胞から分泌されるホルモンGIP(glucose-dependent insulinotropic polypeptide)は脂肪細胞に働きかけると体脂肪を蓄積する作用があるため、ダイエットではGIP分泌は極力抑えた方が良いといえます。
 食物繊維を多く含む食事を摂取した場合、GIPの分泌が抑えることが報告されており、GIP抑制を介して肥満が抑えられる可能性があります3 。
 毎食、積極的に野菜をはじめとする食物繊維含有食品を摂ることで、GIP分泌をできるかぎり抑制しながら肥満の予防や改善に取り組みたいですね。

《 国民の食物繊維摂取量と野菜摂取量の分析 》
 これまで上述した通り、野菜をはじめとする食物繊維含有食品を積極的に摂取することで、肥満の予防や改善に良いことがわかります。
 では、私たちは食物繊維をどの程度摂取しているのでしょうか?果たして1日に必要な目標量をクリアできているのか?国民健康・栄養調査(平成29年)のデータを見てみましょう4 。【図-3】

【図-3】1日食物繊維摂取量と目標量(平成29年国民健康・栄養調査より)

 1日の食物繊維摂取量は男性14.6g、女性14.3gであり、特に20〜40歳代で摂取が少ない傾向があります。厚生労働省の食事摂取基準2015年度版では国民1人あたりの1日食物繊維の目標量は男性20g、女性18gと設定されています。また、食物繊維を多く含む野菜も1日目標量に達していません4 。 私たちが思っている以上に食物繊維(野菜)は積極的に摂取しないと不足しやすい栄養成分ということがわかります。【図-4】
 肥満や糖尿病をはじめとする生活習慣病は40歳から増加するため、生活習慣病予防のためにも全年齢を通して積極的に食物繊維(野菜)を摂取しておきたいといえます。

【図-4】1日野菜摂取量と目標量(平成29年国民健康・栄養調査より)

《 まとめ 》
 今回はダイエット目的における野菜の働きについて、特に食物繊維に注目して書かせていただいただきました。野菜には食物繊維やビタミン、ミネラルだけではなく、フィトケミカルと呼ばれる「未知の健康成分」も含まれており、病気の予防や改善にも未だ見ぬ効果が期待されています。
 また、食物繊維は野菜だけでなくキノコ類、海藻類、こんにゃくなどにも多く含まれているため、野菜以外のこれら食品も同じ働きが期待できます。
 栄養コンシェルジュ®︎では、食物繊維を多く含む食品をカテゴリー3に位置づけています5 。【図-5】
 栄養コンシェルジュ®︎では食物繊維の働きを知ることができるだけでなく、数多くの食品を自分やクライアント、家族や友人にも合わせて選択する能力も養うことができます。私も栄養コンシェルジュ®︎の講師を担当しているので、ぜひ講座でお会いしましょう。

【図-5】栄養コンサルティングガイド(NCGⓇ)のための食品カテゴリーマップ
食品カテゴリーマップ ダウンロードページ

【文献】
1) 金本郁男ほか(2009)低 GI 食の摂取順序で血糖値が変わる<ご飯が先か,サラダが先か.糖尿病 52(Suppl1):173
2) 一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会テキストBasic.2(ver2.10):32
3) Hagander B,et all. Effect of dietary fibre on blood glucose, plasma immunoreactive insulin, C-peptide and GIP responses in non insulin dependent (type 2) diabetics and controls. Acta Med Scand. 1984;215:205-13.
4) 厚生労働省. 平成29年国民健康・栄養調査報告.〈https://www.mhlw.go.jp/content/000451755.pdf〉2019年9月
5) 一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会. 栄養コンサルティングガイド(NCGⓇ)のための食品カテゴリーマップ.〈http://nutrition-concierge.com/〉.2019年9月

【キーワード】
#栄養コンシェルジュ #資格 #セミナー #講座 #ダイエット #食べる順番 #野菜 #トレーニング #食品カテゴリーマップ
栄養コンシェルジュ協会所属、管理栄養士であり健康運動指導士である廣瀬直樹さんの写真

廣瀬 直樹さんのプロフィール

 大学を卒業後、病院の管理栄養士として、肥満や糖尿病などの生活習慣病、腎・肝臓疾患、外科領域の治療や予防的管理に取り組んできた。
病院という“今すぐ”あるいは“可能な限り早期の改善”が求められる現場での経験は、医師、看護師など様々な専門家との連携が鍵となることを痛感し、その連携の重要性と効果の大きさを最大限に引き出す「多職種連携サポート」の構築のために積極的に取り組み、学会や論文として報告してきた実績を持つ。
サポートを受ける本人への専門的な技術指導だけでなく、教育的な介入で本人の成長を促しつつ、信頼し合いながら未来に進んでいくことを何よりも大切だと確信している。
これらの経験を活かして、現在はヘルスケア領域を得意とするOriginal Nutrition株式会社に所属しながら栄養コンシェルジュ協会の運営に関わり、専門学校の講師、行政と連携した乳幼児やシニアの栄養管理と地方創生への取り組み、アスリートサポートや執筆活動に取り組んでいる。
個別栄養サポートを得意とし、様々な専門家との連携による相乗効果で目的に応じた結果の最大化を誰もが享受できる社会を目指して活動中。
【Facebook】
https://www.facebook.com/profile.php?id=100009284194855
栄養コンシェルジュ協会のロゴ

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一般社団法人 日本栄養コンシェルジェ協会の理念

【栄養で人と未来を輝かせる】
運動指導者や管理栄養士、医療従事者、アスリートの皆様が栄養を通じて出会い、協力し合いながら、栄養に関する正しい知識の普及啓発とヘルスケアに関する人材育成を行い、関連する職種、施設、団体、企業、自治体との連携を図り、地域社会の健康維持増進やスポーツ、食育、高齢者生活、農業、観光の発展及び地域住民のより豊かな生活の促進に寄与することを目的とする。

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