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栄養コンシェルジュから知る ダイエットのための栄養学(下)

栄養コンシェルジュから知る ダイエットのための栄養学(下)

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廣瀬 直樹(ひろせ なおき)
2ッ星栄養コンシェルジュ® / 管理栄養士 / 健康運動指導士
【略歴】
2010年~2016年 関西電力病院 疾患栄養治療センター
2016年~ Original Nutrition株式会社 事業統括本部副部長
2017年~ 一般社団法人 日本栄養コンシェルジュ協会 評議員、上級登録講師
2017年~ 広島リゾート&スポーツ専門学校『スポーツ栄養学』 講師
2017年~2018年 吉賀町役場 栄養管理業務担当
2018年~ 一般社団法人 地域QOL研究所  理事
2019年~ 株式会社Dr.トレーニング 栄養アドバイザー
※プロフィールの詳細は記事下部に記載

はじめに

 私たちは生きている間に何回食事をするのでしょうか? 仮に1日に3回食べたとすると1年(365日)で1,095回も食事をする計算になります。平均寿命を84歳(男性81.09歳、女性87.26歳)と仮定した場合、生きている間に90,000回以上食事をする計算になりますね。※計算は大まか

 90,000万食のうち「毎食」食事の中に登場するのが「主食」です。主食とは栄養主成分として「糖質(でんぷん)」を含む食品で、米、ぱん、めん類、いも類などが該当します。【図-1】

トレーナーのための栄養コラムの画像で主食となる糖質食品のイラスト
【図-1】主食となる食品例

 糖質(炭水化物)、脂質、たんぱく質は三大栄養素と呼ばれており、主にエネルギー源となることから生体にとって必要不可欠な栄養素として知られています。三大栄養素の中でも糖質は1日のエネルギー摂取量の約60%を占めることから特に重要な栄養成分1であることがわかります。【図-2】 そしてこの糖質エネルギー約60%の大部分を占めるのが主食から入ってくるエネルギーです。したがって、主食の量や種類の管理は日々のエネルギー摂取量をはじめとした栄養管理に繋がるといえます。

18~69歳男女の一般的な栄養素バランスをグラフ化したもの
【図-2】 18~69歳男女の一般的な栄養素バランス(文献1を参考に作成)

 今回のコラムでは減量(以下ダイエット)における主食の管理方法について主に『玄米食』に注目して書かせていただきます。
できるだけ難しい専門用語を省いた実践的内容ですので、皆様の日々の食品選択において少しでもお役にたてば幸いです。

ダイエット目的における主食の選び方(玄米編)

今回のコラムを端的に言うと

ダイエット中は主食を玄米にしてみよう。

《 玄米に含まれる食物繊維について 》
 ダイエットにおける食物繊維の効果については前回のコラムである〈 ダイエットにおける栄養学(上) 〉でお話ししたとおり、食物繊維はダイエットや肥満の予防では積極的に摂取したい栄養成分の1つです。
 〈 前回コラムのURL: https://www.tr-career.com/article/column-hi-1/  〉
 玄米を精米した精白米は我が国の主食として広く食べられていますが、玄米は精白米と比較して食物繊維を多く含んでいます2。【図-3】

玄米と精白米の食物繊維量の比較のグラフ
【図-3】 玄米と精白米の食物繊維量の比較(文献2を参考に作成)

 このことから、毎日の食事に玄米を主食としてとり入れることで不足しがちな食物繊維を摂取することができます。さらに食物繊維により満腹感が持続することで、摂取エネルギー量を抑えることができダイエットに効果的に働きます。最近では玄米を美味しく炊ける炊飯器も多く発売されているようなので、一般家庭でも自宅で気軽に玄米食を楽しめますね。

《 玄米の高脂肪食に対する嗜好性への影響 》
 ダイエットではエネルギー摂取量<エネルギー消費量が基本であるため、ダイエット食では糖質やたんぱく質の2倍以上のカロリーをもっている脂質(脂肪)の管理が基本となります3【図-4】

1gあたりの三大栄養素のカロリー
【図-4】1gあたりの三大栄養素のカロリー

 このことからダイエット食では可能な限り揚げ物など高脂肪食を控えることが食事療法として広く知られています。

 しかし、減量中にも関わらず高脂肪食の誘惑に負けてしまう方も少なからずいます。何度注意しても食べてしまう方も多く、指導者やサポートする家族は頭を悩ますことでしょう。近頃、玄米に含まれる特有の栄養成分である「γ(ガンマ)-オリザノール」が脳の小胞体ストレスを軽減させることで高脂肪食への依存性を抑制することが報告されています
4。【図-5】

玄米摂取が高脂肪食への悪循環を抑制している図
【図-5】 玄米摂取による高脂肪食への悪循環を抑制(文献3を参考に作成)

 高脂肪食の過食は、タバコやお酒への依存に似ており、また肥満者では食欲を抑制するホルモンであるレプチンが効きにくい状態であることから食欲を抑えることが困難です5
 したがって、ダイエット目的の方や高脂肪食を中々やめられない方では、主食を玄米にすることで脂質代謝だけでなく高脂肪食への嗜好性にまでアプローチでき、効果的なダイエットが可能になります。 
 食欲の亢進は、精神的ストレスや多数のホルモンなど様々な原因によって複雑に起こります。そのため玄米食で食欲が抑えきれるとは言い切れませんが、揚げ物が大好きな方は試してみる価値はありそうですね。

《 玄米食の注意点 》
 これまで上述したとおりダイエット中の主食を玄米にすることで効果的なダイエットが期待できます。しかし、玄米は消化吸収が悪いことから噛む力や腸管運動が低下している高齢者では消化不良(胃腸不快感や便秘など)に注意が必要です。また、成長期やアスリートの増量においても玄米食の選択は最適とは言えません。これは膵臓の膵β細胞から分泌されるホルモン「インスリン」の作用が極めて重要になるからです。

※インスリンは骨格筋でのアミノ酸(肉や魚)やグルコース(米やぱん)の取り込みを増加させて筋タンパク合成を促進します6

 玄米は消化吸収が悪いため満腹感の獲得や食後高血糖の抑制が期待できますが、インスリン分泌の反応も遅くなってしまいます。そのため、成長や増量を目的とした場合は白米を選択することで速やかにインスリンが分泌され、摂取した栄養成分を骨格筋に効率よく取り込むことができるのです。

 以上のことから、ダイエット目的や血糖値が気になる方では「玄米食」を選択し、成長期やアスリートの増量、高齢者(糖代謝異常がある高齢者はのぞく)では「白米食」を選択するなど体質や目的に合わせて主食の内容まで考慮するとよいでしょう。

《 まとめ 》
 今回はダイエット目的における主食の管理方法について、特に玄米食に注目して書かせていただきました。玄米には食物繊維やγオリザノールなどの成分だけでなく、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素が豊富に含まれています。このことから主食を玄米にすることで食事制限による微量栄養素の不足を避けることができます。ただし、玄米のフィチン酸という成分がミネラルの吸収を阻害してしまう可能性もあるため、食品カテゴリーマップのカテゴリー1、2、3が揃ったバランス食を目指しミネラルの不足を防ぎましょう7。【図-6】

 栄養コンシェルジュ®︎講座では、玄米や白米など主食となる食品をカテゴリー1に位置づけています。栄養コンシェルジュ®︎の資格を取得することで、主食の働きを知ることができるだけでなく、数多くある食品を自分やクライアントだけでなく、家族や友人にも合わせて選択する能力を養うことができます。私も栄養コンシェルジュ®︎の講師を担当しているので、ぜひ講座でお会いしましょう。

【図-6】栄養コンサルティングガイド(NCGⓇ)のための食品カテゴリーマップ
食品カテゴリーマップ ダウンロードページ

【文献】
1) 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2015年版)
〈https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html〉
2) 一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会 栄養コンサルティングガイドの栄養成分リスト(ver3.10):4
3) 松澤佑次(編).新しい診断と治療のABC59/代謝5 肥満症2009:127
4) Kozuka C,et all. Brown rice and its component, γ-oryzanol, attenuate the preference for high-fat diet by decreasing hypothalamic endoplasmic reticulum stress in mice. Diabetes. 2012 Dec;61(12):3084-93
5) 一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会.テキストBasic.2(ver2.11):14
6) 一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会.テキストBasic.3(ver2.10):72
7) 一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会. 栄養コンサルティングガイド(NCGⓇ)のための食品カテゴリーマップ.〈http://nutrition-concierge.com/〉.2019年9月

【キーワード】
#栄養コンシェルジュ #資格 #セミナー #講座 #ダイエット #玄米 #お米 #トレーニング #食品カテゴリーマップ
栄養コンシェルジュ協会所属、管理栄養士であり健康運動指導士である廣瀬直樹さんの写真

廣瀬 直樹さんのプロフィール

 大学を卒業後、病院の管理栄養士として、肥満や糖尿病などの生活習慣病、腎・肝臓疾患、外科領域の治療や予防的管理に取り組んできた。
病院という“今すぐ”あるいは“可能な限り早期の改善”が求められる現場での経験は、医師、看護師など様々な専門家との連携が鍵となることを痛感し、その連携の重要性と効果の大きさを最大限に引き出す「多職種連携サポート」の構築のために積極的に取り組み、学会や論文として報告してきた実績を持つ。
サポートを受ける本人への専門的な技術指導だけでなく、教育的な介入で本人の成長を促しつつ、信頼し合いながら未来に進んでいくことを何よりも大切だと確信している。
これらの経験を活かして、現在はヘルスケア領域を得意とするOriginal Nutrition株式会社に所属しながら栄養コンシェルジュ協会の運営に関わり、専門学校の講師、行政と連携した乳幼児やシニアの栄養管理と地方創生への取り組み、アスリートサポートや執筆活動に取り組んでいる。
個別栄養サポートを得意とし、様々な専門家との連携による相乗効果で目的に応じた結果の最大化を誰もが享受できる社会を目指して活動中。
【Facebook】
https://www.facebook.com/profile.php?id=100009284194855
栄養コンシェルジュ協会のロゴ

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一般社団法人 日本栄養コンシェルジェ協会の理念

【栄養で人と未来を輝かせる】
運動指導者や管理栄養士、医療従事者、アスリートの皆様が栄養を通じて出会い、協力し合いながら、栄養に関する正しい知識の普及啓発とヘルスケアに関する人材育成を行い、関連する職種、施設、団体、企業、自治体との連携を図り、地域社会の健康維持増進やスポーツ、食育、高齢者生活、農業、観光の発展及び地域住民のより豊かな生活の促進に寄与することを目的とする。

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